著作権法って、なに? ~著作権によって保護されるレコード製作者~
「著作権法って何のためにあるの?」
「レコード製作者はどのように守られているの?」
著作権法第1条に「文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もって文化の発展に寄与することを目的とする」とあるように、著作権法の第一の目的は「文化の発展」です。音楽、文芸、学術、美術などの文化的な著作物を創作した者や著作物を伝えるのに重要な役割を果たす者を保護するのは、そうした人々が文化の発展に貢献する重要な役割を果たすと考えられているからです。
音楽に関して言えば、歌詞・楽曲(著作物)を創作した作詞・作曲家(著作者)と、歌詞・楽曲(著作物)を広く世に伝える実演家・レコード製作者(著作隣接権者)が音楽文化の発展に欠かせない役割を果たしており、著作権法により保護されているわけです。
著作権に対する理解の度合いは、その国の文化の成熟度に比例すると言われています。未来に向けて音楽文化がいっそう発展するように、著作権法の基本理念と目的への理解を深めて、音楽を楽しんでください。
レコード会社を始めとするレコード製作者は、様々な権利等によって守られていますが、中でも重要なものが「複製権(著作権法第96条)」と「送信可能化権(著作権法第96条の2)」です。
1. 複製権(著作権法第96条)
2. 送信可能化権(著作権法第96条の2)
自分が録音した原盤やその原盤から複製した音楽CDなどに収録されている音(レコード)を他人が許可なくインターネットなどにアップロードする(公衆に対して送信可能な状態にする)ことを止めることができる権利です。
その他にもレコード製作者は、以下のような保護を受けています。
3. 商業用レコードの二次使用料を受ける権利(著作権法第97条)
4. 譲渡権(著作権法第97条の2)
5. 貸与権等(著作権法第97条の3)
6. 私的録音録画補償金を受ける権利(著作権法第30条2項、第102条第1項、第104条の2以下)
7. 技術的保護手段の保護(著作権法第120条の2等)
8. 権利管理情報の保護(著作権法第113条第4項)
9. 音楽レコードの還流防止措置(著作権法第113条第6項)
※レコード製作者の権利等の詳細はこちらをご覧ください。「著作権法によるレコード製作者の保護」
市販CDの音楽などを権利者に無断で複製し海賊版CDを作成したり、その海賊版CDを販売したりする行為、並びに権利者に無断で市販CDの音楽をインターネットを利用して公開(アップロード)する行為などにより、レコード製作者の権利等が侵害された場合には、違反者に対して罰則規定が設けられています。個人の場合であれば「10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金、またはその両方(著作権法第119条第1項)」などとされています。
また、インターネットで違法にアップロードされている著作物を違法と知りながら自分のパソコンなどに複製(ダウンロード)する行為も、権利侵害となり、権利者から損賠賠償を求められる可能性があります。その中でも、市販のCDや有料配信されている音楽・映像と知りながらダウンロードする行為については、違反者に罰則規定が設けられています(2012年10月1日施行)。法律で「2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金、またはその両方(著作権法第119条第3項)」とされています。
さらに2021年1月1日からは市販されている漫画・書籍などについても、違法にアップロードされていると知りながら繰り返し丸ごとダウンロードする行為は、音楽・映像と同内容の罰則対象となります。
また、違法にアップロードされた著作物のリンクを集めた悪質なリーチサイト・リーチアプリを運営・提供する行為に罰則が規定され、「5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金、またはその両方(著作権法第119条第2項)」、また、違法にアップロードされた著作物のリンクを悪質なリーチサイト・リーチアプリに掲載する行為についても「3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金、またはその両方(著作権法第120条の2)」と法律で規定されています(2020年10月1日施行)。
※違法リーチサイト・リーチアプリに関する詳細についてはこちらもご覧ください。「あの音楽アプリは、もう違法。」
その他、レコード製作者は権利侵害の差止めや海賊版の複製・販売によって受けた損害の賠償を請求することができます。
※救済措置の詳細はこちらをご覧ください。「権利侵害に対してレコード製作者の取り得る措置」