プレスリリース

「無許諾音楽アプリ」に関する利用実態調査報告書を公表

  • LINEで送る

2020.09.15

一般社団法人日本レコード協会
(無許諾音楽アプリ実態調査委員会 事務局幹事)

 

「無許諾音楽アプリ」に関する利用実態調査報告

 

一般社団法人日本レコード協会、一般社団法人日本音楽事業者協会、一般社団法人日本音楽出版社協会、一般社団法人日本音楽制作者連盟、一般社団法人日本音楽著作権協会、一般社団法人コンサートプロモーターズ協会の音楽関係6団体は、アーティストなど権利者が想定しない態様による音楽配信を可能とする「無許諾音楽アプリ」の利用実態を明らかにすることを目的として「無許諾音楽アプリ実態調査委員会」(座長:青山学院大学 内山隆教授)を本年1月に立ち上げ、検討を行ってまいりました。 この度、調査結果を報告書として取りまとめましたので、一部を抜粋し、下記にてお知らせいたします。

 

 

「無許諾音楽アプリ」利用実態 概要

  • 「無許諾音楽アプリ」の推計利用者数は246万人と、人口の2%程度。この内、10代と20代の合計は約194万人で全体の78.7%を占める。

 

 

年齢層 推計人数 構成比
10代(12~19歳) 94.4万人 38.3%
20代(20~29歳) 99.6万人 40.4%
30代以上(30~69歳) 52.4万人 21.3%
合計 246.5万人 100.0%

※各数値は小数点第1位を四捨五入しているため、必ずしも合計値と一致しない

 

  • 「無許諾音楽アプリ」による楽曲の推計年間再生回数は年間115億回。2013年からの累計再生回数は478億回にのぼる
  1日あたりの楽曲再生回数は「平日12.25回」「休日13.75回」

 1日あたりの平均視聴時間(平日で約49分、休日で約55分)から1楽曲4分で換算で年間総再生回数を算出。

 

   

  利用者数(人) 再生回数
2013年 180,924 843,496,687
2014年 326,327 1,521,387,887
2015年 599,245 2,793,773,155
2016年 962,611 4,487,840,655
2017年 1,349,772 6,292,841,873
2018年 1,960,617 9,140,691,592
2019年 2,399,109 11,185,009,105
2020年(3月時点) 2,464,670 11,490,664,771
合計 47,755,705,724

※各数値は小数点第1位を四捨五入しているため、必ずしも合計値と一致しない

 

  • 「無許諾音楽アプリ」の収益が『アーティストなど権利者に還元されていないと知りながらも使い続ける』と回答した人は86.2%に及び、全体の6割超が「気になりながらも使い続ける」と回答

 

  使い続ける 気になるが使い続ける 使うのをやめる
全年齢(12~69歳) 24.6% 61.6% 13.8%
10代(12~19歳) 21.9% 65.0% 13.1%
20代(20~29歳) 24.4% 61.4% 14.2%

 

「無許諾音楽アプリ」による影響(まとめ)​

今回の実態調査は、2020年3月時点の利用実態動向であり、その後のコロナ禍による生活様式や環境の変化がもたらす影響については把握がなされておらず、ネットの利用時間が増えれば、また異なる利用実態が存在すると想定される。

また、利用者の利用動向や利用意識の実態からは「MusicFM」や「MusicBox」などの「無許諾音楽アプリ」の出現により「音楽は無料」という環境に慣れた利用者たち、とりわけ若年層では「無許諾音楽アプリ」を繰り返し利用することにより、音楽の購入や利用に対する支出やアーティストに還元する慣習や意識そのものを認識せず、音楽に触れている可能性があることになる。

これらの健全化が図れないままであれば、この「無許諾音楽アプリ」を利用する利用者は今後も確実に増加することが想定され、それによる被害は確実に肥大化し、より深刻化すると考えられる。

音楽業界にとってこの事態そのものが被害や損失を超えた音楽市場の滅失に繋がることを再認識し、そのような市場の崩壊を防ぐため、海賊版リーチサイト・アプリ規制を盛り込んだ改正著作権法の施行と、適法な情報流通にも配慮した適切な運用による事態の早期の打開が望まれるところである。

同時に、そのようなアプリの拡散を防ぐためアプリストアにおける対策を強化することや、より一層の実態把握に向けたアプリストアと音楽業界の協力関係の構築などにより、配布の事前防止策を講じるなどで音楽を取り巻く環境の健全化が早急に図られることが重要と考える。

また、音楽業界やプラットフォーム事業者など関係者による利用者への周知啓発や、特に若年層の利用者がより合法的に音楽に触れやすいビジネスモデルの構築などが進められ、デジタル環境で音楽業界が継続的に発展していくための環境整備が行われることを期待する。

※上記結果を含む調査結果報告書は以下よりご覧いただけます

無許諾音楽アプリ調査委員会報告書

 

無許諾音楽アプリ実態調査委員会概要

【委員】※敬称略 
内山 隆(青山学院大学 教授)<座長>
生貝直人(東洋大学 准教授)
太下義之(文化政策研究者)
城山康文(アンダーソン・毛利・友常法律事務所 弁護士)
山口真一(国際大学グローバルコミュニケーションセンター 准教授)
吉田  奨(一般社団法人セーファーインターネット協会 専務理事)

【オブザーバー】
内閣府知的財産戦略推進事務局
総務省
文化庁
経済産業省 

【アンケート調査委託会社】
株式会社三菱総合研究所

【事務局】

一般社団法人日本音楽事業者協会
一般社団法人日本音楽出版社協会
一般社団法人日本音楽制作者連盟
一般社団法人日本音楽著作権協会
一般社団法人コンサート・プロモーターズ協会
一般社団法人日本レコード協会

 

調査概要

【調査手法】インターネットWEBアンケート調査
【調査時期】スクリーニング調査(2020年3月16日~20日)
      本調査(2020年3月23日~30日)
【調査対象】全国12~69歳の男女
【有効回答数】
スクリーニング調査:10,000サンプル
※国勢調査に基づき性・年代の人口構成比に従って割付・回収
本調査:1,034サンプル
※スクリーニング調査において「MusicFM」「MusicBox」を過去1年以内に利用していると回答した層を、性・年代別当該アプリ利用率に従って回収。

 

以上