音楽と著作権・用語集(五十音順)

音楽著作権の管理事業者

日本では、作詞家・作曲家の権利(音楽著作権)はいくつかの管理事業者が管理しています。このため、歌詞・楽曲を利用する際は、これらの事業者から許可を得れば利用することができます。「一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)」が日本で最も歴史の長い音楽著作権の管理事業者ですが、近年では、「株式会社NexTone」も音楽著作権の管理事業を行っています。

音楽著作権の管理事業者に関する詳細はこちら

海賊版CD

海賊版CDとは、権利者の許可なく、第三者が市販の音楽CDなどをコピーして販売するCDをいいます。

学校その他の教育機関における複製

著作物などをコピーするときは権利者に許可を得るのが原則ですが、著作権法では権利者の許可なくコピーできる例外をいくつか認めています。一定の条件を満たす場合の教育機関におけるコピーもその一つです。

学校その他の教育機関における複製等の詳細はこちらをご覧ください
「教育機関で認められる音楽の利用のしかた」

技術的保護手段等の回避

技術的保護手段とは、例えば音楽CDからコピーが繰り返されて高音質の複製物が無数に作成されることを防止するための電磁的方法による手段です。VHSなどに用いられている信号付加型の保護技術やDVD・Blu-rayなどに用いられている暗号型保護技術の回避行為が規制されています。これらの保護技術の回避行為により可能となったことを知りながら行う複製行為は、私的使用のための複製であっても違法(刑罰なし)となります。また、著作物等へのアクセス(視聴など)をコントロールする技術的利用制限手段を権限なく回避する行為も原則的に規制されています。

許諾権

他人が許可なく利用することを止めることができる権利。レコード製作者の場合は、著作隣接権者として「複製権」「送信可能化権」「譲渡権」「貸与権」の4つの許諾権が認められています。

貸与権の場合、レコード製作者は音楽CDなどの発売から1年間は許諾権を有しますが、1年経過後から保護期間が終わるまで(原則69年間)は、貸与に対する「報酬請求権」を有することになります。

権利管理情報

権利管理情報とは、著作権著作隣接権等に関する権利者名や利用許諾条件等の情報が電磁的方法で記録・送信されるものをいいます。

権利者

著作物の創作や伝達にかかわる著作権者著作隣接権者のことをいいます。音楽CDの場合の著作権法上の権利者は、著作者実演家レコード製作者の3者です。

権利制限

著作物等の公正な利用を図るという観点から、著作権法は一定の場合について著作権者著作隣接権者の権利を制限しています。利用者から見ると権利制限の範囲内であれば、権利者に許可なく著作物等を利用することができます。

原盤

音楽CD等を複製する大本となる歌唱・演奏等の音を収録した録音テープ、ディスクなどを指します。この原盤を元にCDショップにならぶ音楽CDが作られます。

公衆

著作権法での「公衆」の定義は、特定多数と多数・少数を問わない不特定の人を指します。また、「多数」とは相対的な概念とされており、ケース・バイ・ケースで変わっていきます。

公衆送信権

公衆送信権は著作権者についてのみ認められている権利(許諾権)であり、自分が作った著作物を他人が許可なく放送、有線放送、インターネット送信、又はインターネットにアップロードする(公衆に対して送信可能な状態にする)ことなどを止めることができる権利をいいます。著作権者の公衆送信権に対応するレコード製作者の権利としては、商業用レコードの二次使用料を受ける権利報酬請求権)と送信可能化権(許諾権)があります。

実演家

著作物を演劇的に演じ、舞い、演奏し、歌い、口演し、朗詠し、またはその他の方法により演ずること(これらに類する行為で、著作物を演じないが芸能的な性質を有するものを含む)を実演といいます。実演家とはこれを行う人及び指揮、演出する人を指し、具体的には俳優、舞踊家、演奏家、歌手、指揮者、また、演出家が該当します。音楽の場合は、楽曲や歌詞を歌唱・演奏により伝達する歌手や演奏家などが該当します。

私的使用のための複製

著作物などをコピーするときは権利者に許可を得るのが原則ですが、著作権法では権利者の許可なくコピーできる例外がいくつか認められています。「私的使用のための複製(コピー)」もその一つです。私的使用のための複製とは、個人的にまたは家庭内か家庭内に準じる範囲で使用することを目的として行うコピーをいいます。

私的使用のための複製の詳細はこちらもご覧ください。「音楽CDと著作権・Q&A集」

私的録音録画補償金

政令で指定されたデジタル方式の録音・録画機器及び媒体を使って、私的使用のために録音・録画する人は、著作権者実演家レコード製作者の三者に対して、一定の補償金を支払うことになっています。録音録画技術の発達により個人でも簡単に高品質のコピーを作成できるようになった状況を踏まえ、権利者の利益を保護する目的で1992年の著作権法改正により導入されました。

私的使用のための複製の詳細はこちらもご覧ください。「音楽CDと著作権・Q&A集」

侵害著作物等利用容易化ウェブサイト・プログラム(違法リーチサイト・リーチアプリ)

違法にアップロードされた侵害コンテンツ(音楽・映像・漫画・書籍など)へのリンク情報等を集約したウェブサイトやアプリであって、ユーザーを侵害コンテンツに殊更に誘導したり、主として侵害コンテンツの利用のために用いられるものをいいます。このようなアプリは「違法音楽アプリ」「無許諾音楽アプリ」とも呼ばれています。これらサイト・アプリの運営およびリンク提供行為は刑事罰の対象となります。

※違法リーチサイト・リーチアプリの詳細はこちらもご覧ください。「あの音楽アプリは、もう違法。」

送信可能化権

自分が製作したレコード原盤)やその原盤から複製した音楽CDなどに収録されている音を他人が許可なくインターネットなどにアップロードする(公衆に対して送信可能な状態にする)ことを止めることができる権利です。

商業用レコード

市販の目的で製作されるレコードの複製物をいいます。音が記録された物の形態にかかわらず、LP(アナログディスク)、CD、カセットテープ、SACD、DVDオーディオ、オルゴールなどの市販目的商品が商業用レコードにあたります。

商業用レコードの二次使用料を受ける権利

商業用レコード(音楽CD等の市販パッケージ商品のほか、配信音源も含む)を使った放送局および有線放送局は、実演家レコード製作者にそれぞれ二次使用料を支払わなければなりません。二次使用料を受ける権利は文化庁長官が指定した団体を通じてのみ行使することが可能であり、レコード製作者については、当協会(一般社団法人日本レコード協会)が指定団体として、レコード製作者のための二次使用料の徴収と分配を行っています(なお、実演家の指定団体は、公益社団法人日本芸能実演家団体協議会となっております)。

譲渡権

自分が製作したレコード原盤)の複製物(例えば音楽CD)を他人が許可なく、有償または無償で公衆に譲渡することを止めることができる権利です。しかし、一度適法に譲渡された音楽CDを再譲渡する行為には譲渡権は及びません。

貸与権

貸与権とは、自分が製作したレコード原盤)から複製した音楽CDなどの商業用レコードを他人が許可なく、公衆に貸与(レンタル)することを止めることができる権利です。音楽CDなどの商業用レコードは、最初に発売されてから1年間は貸与権(許諾権)により保護されますが、1年経過後は、保護期間終了まで(原則69年間)、報酬請求権の対象として保護されます。

著作権

著作物の利用から得られる財産的利益を保護する権利であり、著作物の利用形態に応じた個別の権利(複製権、演奏権、公衆送信権譲渡権貸与権など)から構成されています。著作者の人格的・精神的利益を保護する権利(著作者人格権)と区別する意味で、著作財産権と呼ばれることもあります。

著作権者

著作物著作権(著作財産権)を有する人をいいます。著作権(著作財産権)は他人に譲渡することができるので、実際に著作物を創作した著作者と著作権者が異なる場合があります。

著作権法

著作者実演家レコード製作者、放送事業者、有線放送事業者を守るための法律が著作権法です。著作権法第1条には「文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする」とあり、著作権法の第1の目的が「文化の発展」であることが規定されています。

著作者

著作物を創作する者をいいます。

著作物

著作権法では「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう」と定義されています。具体的には小説、講演、音楽、美術、映画、コンピューター・プログラムなどがこれにあたります。音楽に関しては歌詞やメロディが著作物です。

著作隣接権

著作物を人々に伝達する者として、実演家レコード製作者、放送事業者、有線放送事業者の四者に対し、著作物の創作に準ずる行為について与えられている権利をいいます。

著作隣接権者

音楽CDの場合は、レコード会社などの「レコード製作者」、歌手・演奏家などの「実演家」が該当します。このほか、著作権法では、「放送事業者」(無線テレビ・ラジオ局)と「有線放送事業者」(有線ラジオ放送局やケーブルテレビ局)も著作隣接権者に該当します。

複製権

レコード製作者は、自分が録音した原盤やその原盤から録音した音楽CDなどに収録されている音(レコード)を他人が許可なくコピー(複製)することを止めることができる権利を有しています。

報酬請求権

自分が著作権著作隣接権を有する著作物等を他人が使う場合、その使用に応じて報酬を受け取ることができる権利をいいます。著作物等を使用する人から見ると、権利者の許可は必要とされませんが、使用に応じて料金を支払うというものです。

レコード製作者の場合、発売後1年を経過した音楽CDがレンタルされる場合や放送で音楽CDや配信音源が使用される場合に、報酬を受ける権利が認められています。

レコード

テープ、CD、ハードディスクなどの物に音を固定(録音)したものをいいます。

レコード製作者

レコードに固定されている音を最初に固定した者をいいます。言い換えると、音を最初に録音して原盤を作った者です。